投資系YouTubeのコメント欄を眺めていた。
「NISA貧乏じゃなくてNISA推し活」
「NISA貧乏って誉め言葉だと思ってたんだけど違うの?」
そんなコメントが、何件も並んでいた。
1. 蔑称のはずが、誉め言葉になっている
「NISA貧乏」という言葉、もともとは蔑称のはずだ。
NISAに入れすぎて、生活が貧乏になっている。そういう揶揄のニュアンスで使われ始めたんだと思う。
でも200件くらいコメントを読んでいくと、もう蔑称として機能していない。
むしろ、それを自称することが、ちょっとしたステータスになっている空気があった。
2. 収入じゃなく、資産を基準にしている
コメント欄で何度も出てきたのが「収入が上がっても生活水準を上げない」という話だった。
車をミニバンから軽自動車に乗り換えた。スマホを中古端末と格安SIMにした。服はしまむらにした。
一つひとつは地味だ。でも共通しているのは、収入を生活の基準にしていないということだった。
「資産は、収入より一つ上の概念」というコメントへの反応が、特に多かった。
自分もN-BOXに乗っている。日本通信のSIMを使っている。ユニクロとGUしか着ない。同じことをやっている自覚がある。
3. 全部を削るわけじゃない
自分の場合、本業では時短を徹底している。効率化できるところは、とことん効率化する。
一方で、支出はどこにケチるか、かなり意識的に選んでいる。
全方位でケチるわけじゃない。優先順位をつけて、使うところには使う。そうじゃないと、たぶん長続きしない。
これは前に、狩りの道具を削る話でも書いた。道具を削りすぎると、狩りの量自体が減る。節約にも、削っていい場所と、削るとまずい場所がある。
4. モノより、資産が増える快感
コメントの中に、こんな話もあった。
20年使った家電が壊れたが、自分で分解して直したら、あと10年使えそうだとわかった。それが最高に幸福だったという声。
「欲しいな」と思っても1週間置いてから検討するルールを徹底したら、衝動買いがほぼなくなった、という報告。
資産管理アプリの残高を見てニヤニヤする、という表現への共感の多さ。
モノを増やすことより、資産残高が積み上がっていくことに、満足感を見出している人が多かった。
5. 自作という趣味にも、通じるものがある
これを見ていて、思い出したコメントがある。
前に書いた「狩りの道具」の記事に、こんなコメントが来た。
「自作するのは趣味でエエで。時は金なり」
本業で自作すると、時間の無駄になることもある。でも趣味として自作するのは、また別の話だ。
既製品を買う代わりに、自分で作る過程そのものが楽しい。
これは、資産形成の過程を楽しむ感覚と、根っこの部分で近い気がする。増やすことそのものより、増えていく過程を眺めているのが楽しい。
6. なぜ叩かれる言葉が生まれるのか
なぜ「NISA貧乏」という言葉が生まれて、広まったのか。
コメント欄には、いくつかの見方があった。
メディアやスポンサー企業は消費を促したい立場にあるから、貯めすぎを揶揄する記事が生まれやすい、という指摘。
制度を活用して着実に資産を築いている若い世代への嫉妬が根底にある、という見方。
浪費する人がいてくれるからこそ経済が回っている、という皮肉。
構造としては、なるほどと思う話だった。少なくとも、この言葉に振り回されて自分のやり方を変える必要はない、という結論には納得できる。
7. 行き過ぎには注意、という声もあった
ただ、コメント欄には慎重な意見も一定数あった。
節約を突き詰めすぎて、友人付き合いや恋愛まで犠牲にするのは本末転倒じゃないか。
若いうちにしか得られない経験もある。資産形成だけに人生を最適化するのは、やりすぎだ。
相続する相手がいないなら、ある程度は自分のために使ったほうがいい。
これも、一理あると思う。
ケチの使いどころを間違えたくない。これは、まさにこのバランスの話だ。何にでもケチるんじゃなく、削るところと使うところを、自分の価値観で線引きする。
そこが曖昧なまま「とにかく貯める」に振り切ると、たぶんこの慎重派が指摘する落とし穴にはまる。
まとめ
- 投資系YouTubeのコメント欄で「NISA貧乏」という言葉が、蔑称じゃなく誉め言葉として使われていた
- 共通していたのは、収入じゃなく資産を基準に生きているということ
- 全方位でケチるんじゃなく、優先順位をつけて使うところには使う
- モノより、資産残高が積み上がる過程に満足感を見出している人が多い
- 「自作するのは趣味でエエで」というコメントとも、根っこは通じている
- 節約を突き詰めすぎるとバランスを崩す、という慎重な意見にも一理ある
「NISA貧乏」が意味しているのは、我慢させられた貧しさじゃない。何を基準に豊かさを測るか、その違いだけだと思う。
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