前に「自分がいなくても回るように、あえて仕組みを変えてきた」と、一行だけ書いた。

あれについて、もう少し考えていた。

評価されなかった、という話じゃない。

なぜ俺は、そうしてきたのか。その話だ。

1. 当たり前だと思っていた

自分にしかできない仕事を、増やさない。

やり方を聞かれたら教える。記録に残せるものは、なるべく残す。

自分がいなくなっても、仕事が回るようにしておく。

それが、当たり前だと思っていた。

以前、属人化している先輩について書いた。自分にしかできない仕事を抱え込んで、それを誇りに思っている人だった。

ああはなりたくない、と思っていた。

2. なぜそうしてきたのか、考えたことがなかった

なぜ、そうしてきたのか。

深く考えたことはなかった。

普通の人は、そうするものだと思っていたからだ。

自分にしかできない仕事を作るのは、ずるいことだと思っていた。組織のためにならないと思っていた。だから、しなかった。

信念でもない。戦略でもない。

ただ、そういうものだと思っていた。それだけだ。

3. でも、周りはそうじゃなかった

周りを見渡すと、そうじゃない人の方が多かった。

抱え込んだ方が、「手放せない人材」として扱われる。代わりが利かない方が、組織の中では価値として認識されやすい。

俺は、逆のことをしてきた。誰でも代わりが利くように、あえてしてきた。

普通だと思ってやってきたことが、実は普通じゃなかったらしい。

4. 定年が延びたから、手放さない

損をした、と言うと大げさかもしれない。

生活に困っているわけじゃない。資産は積み上がっている。

ただ、周りを見ていて、思ってしまうことがある。

定年が近い先輩が、自分にしかできない仕事を抱えたまま、誰にも譲らない。

若い子に渡せば済む話を、渡さない。聞かれても、全部は教えない。

最初は「あと数年でいなくなる人なのに」と思っていた。

でも、違った。

今は定年が延びている。役職を外れても、会社には残れる。

つまり、いなくならない。

役職がなくなった後も、ここにいたい。そのためには、自分にしかできない仕事が要る。

そういうことなんだと思う。

情けない、と思ってしまう。

でも、みんながそうなのかはわからない。俺がそう見えているだけかもしれない。

5. それでも、やり方は変えていない

じゃあ、これから抱え込む側に回るか。

それも違う気がする。

普通じゃなかったとわかっても、自分にしかできない仕事を、意図的に作ろうとは思わない。

これは、損得の問題じゃない。性分の問題だ。

50代になって、性分は変わらないということだけは、よくわかってきた。

ただ、俺も定年まではまだある。

そのとき、役職も肩書きもなくなって、それでも会社にいるとしたら。

何かにしがみつきたくなるのかもしれない。

今は情けないと思っている。でも、自分もそうなる側かもしれない。

それはそれで、そのとき考える。

まとめ

  • 属人化は組織にとって問題だと思っていたので、意図的に属人化しないようにしてきた
  • なぜそうしてきたのか、深く考えたことはなかった。普通だと思っていたからだ
  • でも周りを見ると、抱え込む人の方が多かった。普通じゃなかったらしい
  • 定年が近い先輩が、仕事を抱えたまま誰にも譲らない
  • 定年が延びて、役職を外れても会社には残れる。だから手放さないのだと思う
  • 情けないと思ってしまう。ただ、みんながそうなのかはわからない
  • それでも、やり方を変えるつもりはない。損得ではなく性分の問題だから
  • ただ、自分も役職がなくなったとき、同じ側になるのかもしれない

役職を外れても残れる時代になった。だから、仕事を手放さない。情けないと思ってしまう。ただ、自分もそうなる側かもしれない。

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