ふと思った。

俺が死んだら、妻に何を伝えればいいんだろう。


1. 妻は、ざっくりしか知らない

妻は、うちのお金のことを、ざっくりは知っている。

でも、ざっくりだ。

うちは家族4人で、証券会社がぜんぶ違う。俺の口座の中身も、インデックスに高配当ETF、米国債ETF、それにSOXL。

→ 家族4人、証券会社がぜんぶ違う話。これから始めるならどこがいいか。

SOXLなんて、たぶん妻には意味が分からない。分からなくて当然だと思う。


2. まず、どこに何があるかを紙に書く

最初に思いついたのは、これだ。

どこに、何があるか。それを紙に書いておく。

  • 証券会社と、銀行の名前
  • iDeCo
  • 保険
  • だいたい、どれくらい入っているか

一覧になっていれば、妻はそこに連絡すればいい。

口座があることさえ分からなければ、手続きのしようがない。逆に言えば、分かってさえいれば、なんとかなる。


3. パスワードは、要るのか?

次に思ったのが、パスワードだ。

教えておいたほうがいいのか。でも、俺は死んでいる。死んだ人のパスワードで、ログインしていいものなのか。

調べた。

パスワードは、要らなかった。

証券会社に死亡を伝えて、書類をそろえれば、パスワードが分からなくても相続の手続きはできる。必要なのは、「どこに口座があるか」だけだ。

むしろ、亡くなった人のIDとパスワードでログインするのは、やめたほうがいいらしい。不正アクセス禁止法に触れるおそれがあると書かれていた。家族だから大丈夫、とは言い切れないようだ。勝手に売ったりお金を動かしたりすれば、ほかの相続人とのトラブルにもなりかねない。

なので、紙に書くのは、パスワードじゃない。どこに、何があるか。それだけでいい。


4. 慌てなくていいのは、売り買い

伝えたいことの一つは、これだ。

慌てなくていい。

株や投資信託は、売らずにそのまま妻の口座に移せる。現金に換えなくても、相続はできる。

SOXLが何なのか分からなくても、今すぐ売る必要はない。値動きを毎日見る必要もない。

俺が死んだ直後に、売るか持つかを決めなくていい。


5. 後回しにしてはいけないのは、手続き

ただ、調べていて気づいた。

慌てなくていいのは、売り買いの話だけだった。相続の手続きには、期限がある。

期限(亡くなったことを知った日から)手続き必要になる人
3か月相続放棄・限定承認借金のほうが多いときなど
4か月準確定申告(亡くなった年の所得の申告)確定申告が必要な所得があった人
10か月相続税の申告・納付遺産が基礎控除を超える人

証券口座の名義変更そのものには、期限はない。でも、相続税の申告には残高の証明がいるので、結局10か月以内には動くことになる。

相続税の基礎控除は、「3,000万円+600万円×相続人の数」。妻と子ども2人なら、4,800万円だ。

うちは、この4,800万円をたぶん超える。

ここで、一つ大事なことを知った。

配偶者には大きな特例があって、妻が相続する分は、1億6,000万円まで(または法定相続分まで)相続税がかからない。

でも、この特例を使うには、申告が必要だ。税金がゼロになる場合でも、10か月以内に申告しないと、特例が使えない。

慌てなくていい。でも、放っておいてもいけない。


6. 動かすなら、勉強してから

そして、もし売り買いをするなら。

勉強してからにしてほしい。

少なくとも、1年か2年たってから。

悲しいときに、よく分からないまま大きなお金を動かすのが、一番危ない。営業の人に勧められるまま、よく分からない商品に入れ替えるのも、たぶん危ない。

時間をかけて、分かってから動かせばいい。お金は、待っていてくれる。


7. 書くとしたら、こうなる

似たようなものは、もうある。

保険の受取人とか、口座の場所とか、断片的には妻も知っている。でも、一枚にまとまってはいない。

まとめるとしたら、こうなる。

【俺に何かあったときのメモ】 パスワードは書いていない。要らないから。

■お金のあるところ ・○○証券:投資信託、米国のETF(高配当・米国債・SOXL) 約○○○○万円 ・○○銀行:給料の振込口座 約○○万円 ・iDeCo(○○証券):約○○○万円 ・財形(勤め先):約○○○万円

■保険 ・○○生命:受取人は妻

■最初に連絡するところ ・勤め先の総務(退職金、財形のこと) ・上の証券会社、銀行、保険会社に「亡くなった」と電話

■期限(亡くなったのを知った日から) ・3か月:相続放棄の期限。借金のほうが多いときに考える ・4か月:準確定申告。必要かどうか、税務署か税理士に聞く ・10か月:相続税の申告。税金がゼロでも、申告しないと配偶者の特例が使えない

■売り買いについて ・慌てて売らなくていい。株も投資信託も、そのまま移せる ・SOXLは分からなくていい。とりあえず放っておいていい ・動かすなら、勉強してから。少なくとも1〜2年後 ・営業の人に勧められても、その場で決めない

■このメモの場所 ・○○の引き出し

実物に書くなら、金額も会社名も、もう少し具体的にすることになる。

書き出してみたら、A4の紙1枚で足りそうだった。


8. 紙1枚と、一言と、期限の表

考えてみたら、伝えることは、そんなに多くなかった。

どこに何があるかを書いた、紙1枚。

「売り買いは慌てなくていい。動かすなら、勉強してから」の一言。

それと、手続きの期限の表。

パスワードより、たぶんこっちのほうが大事だ。


まとめ

  • 妻はうちのお金を、ざっくりしか知らない。SOXLは、たぶん意味が分からない
  • まず、どこに何があるか(証券会社・銀行・iDeCo・保険)を紙に書いておく
  • パスワードは要らない。口座の場所が分かれば、相続の手続きはできる。むしろ、亡くなった人のIDでログインするのはやめたほうがいい
  • 株や投資信託は、売らずにそのまま移せる。売り買いは慌てなくていい
  • でも、手続きには期限がある。3か月・4か月・10か月。遺産が基礎控除を超えるなら、10か月以内に相続税の申告
  • 配偶者の特例で税金がゼロになっても、申告しないと特例は使えない
  • 動かすなら勉強してから。少なくとも1〜2年後でいい

※相続の手続きや税金は、金融機関や家族の状況によって違う。詳しくは各社の窓口や、税理士などの専門家に確認してほしい。

妻は、俺より倹約家だ。紙1枚と期限の表があれば、たぶん俺より上手くやる。


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