「1000万円、どうやって貯めたんですか」

そう聞かれることがある。

答えると、たいてい拍子抜けされる。

特別なことは何もしていない。

ただ、始めた理由には少しだけ事情がある。


1. 教育費として始めた

専門学校を卒業して、就職氷河期の真っ只中で就職活動をした。

倍率20倍の試験を突破して、なんとか今の会社に入れた。たまたまだ。運が良かっただけだと思っている。

それでも、あの時代の就職の厳しさは身に染みている。

子供が生まれたとき、自分と同じ苦労をさせたくないと思った。

私立に行けるなら、行かせてやりたい。選択肢を持たせてやりたい。

そのためには教育費が必要だ。

なんとなく「1000万くらいあれば安心だろう」と思って、財形貯蓄を始めた。

厳密な計算じゃなく、感覚的な目安だ。


2. 財形貯蓄で天引きしただけ

会社に財形貯蓄という制度があった。

給料から自動で天引きされて、別の口座に積み立てられる仕組みだ。

毎月4万円。それに加えて、ボーナスからも50万円。年2回まとめて積み立てていた。

合わせて年100万円くらいのペースだ。

利息も当時は0.7〜1.5%くらいあった。今思えば大したことない数字だが、当時は普通預金よりよかった。

教育費という目的があったから、これは続けないといけないという気持ちがあった。


3. 意志の力はゼロだった

「よく我慢して貯められましたね」と言われることがあるが、我慢した記憶がない。

天引きだから、最初から手元に来ない。

使おうにも使えない金額は、最初から存在しないのと同じだ。

意志の力で貯めたわけじゃない。仕組みが先にあって、それに乗っただけだ。


4. 昇給した分は積立NISAに

働いている間に何度か昇格・昇給があった。

財形の設定額は、そのまま変えなかった。

昇給分は、新しく始めた積立NISAに回した。

生活レベルを上げなかった、というと立派に聞こえるが、単に財形の金額を見直す気がなかっただけだ。増えた分は別の箱に入れておいた。それだけのことだ。


5. 結局、公立に行った

子供は結局、公立に進学した。

私立に行かせてやりたいと思って積み立てていた1000万は、使う場面がなくなった。

正直、ほっとした部分もある。お金の心配が一つ消えたからだ。


6. 財形をやめなかった理由

教育費としての目的がなくなったあとも、財形貯蓄をやめようと思ったことはある。

利息も大したことなくなってきたし、NISAの方が有利だとわかってきたからだ。

でもやめなかった。

理由は総務課だ。

財形をやめるには、総務課で手続きをしないといけない。

その担当のおばさんが、いつも何か聞きに行くと面倒くさそうな顔をする。

行きたくなかった。

こっちも面倒くさかった。

その「面倒くさい」が勝って、財形はそのまま放置することになった。


7. 教育費が、投資の元本になった

財形は放置。昇給分は積立NISA。

それを10年弱続けたら、1000万円に届いた。

私立の学費に使うはずだったお金は、結局そのまま投資の元本になった。

子供のために用意した1000万が、自分の資産形成の土台になった。

不思議な巡り合わせだと思う。


まとめ

  • きっかけは教育費。氷河期の就職苦労から、子供には選択肢を持たせたいと思った
  • 財形貯蓄で毎月4万+ボーナス時上乗せ、年100万ペースで天引き
  • 意志の力はゼロ。最初から手元に来ないだけ
  • 昇給分は財形を増やさず、積立NISAに新規で回した
  • 結局子供は公立に進学した
  • 財形をやめなかった理由は総務課の手続きが面倒だったから
  • 教育費として用意していた1000万が、そのまま投資の元本になった

立派な戦略は何もない。親心と、天引きと、面倒くさがりが噛み合っただけだ。


※投資にはリスクが伴います。将来の運用成果を保証するものではありません。投資は自己責任でお願いします。


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