モテたかった。

余裕が出てきて、声をかけるようになって、反応が返ってくるようになった。楽しかった。

ツーショット写真を頼まれた。抱きついていいか聞かれた。泣かれた。モテるって、こういうことか、と思った。


軽く声をかけるだけで、みんな喜ぶ

軽く声をかけるだけで、みんな喜ぶ。

「かわいいね」「優しいね」それだけで十分だった。

職場の雰囲気も変わった。自分も楽しかった。会議はくだらなくても、昼休みに誰かと話すのは悪くなかった。こういう小さな楽しさが、つまらない職場を少し彩ってくれた。


たまに、本気になりそうな子が出てくる

でもたまに、本気になりそうな子が出てくる。

向こうも本気っぽい。こっちも本気になりかける。楽しいを超えて、何かもっと大きなものになりそうな瞬間がある。

その瞬間の感覚は、正直に言うと悪くない。でも同時に、何かがざわめく。


その時に、何もできない

でも何もできない。

妻がいる。家族がいる。資産がある。積み上げてきたものがある。25年勤めた仕事がある。

本気になりかけた瞬間に、全部が頭をよぎる。

「これを壊したいのか」という問いが来る。答えはノーだ。だから何もできない。

相手は本気かもしれない。でも俺は何もできない。


だから、モテたくないと思い始めた

何もできないなら、本気にさせてはいけない。

本気になりかけた子に、何もしてあげられない。それが一番申し訳ない。

楽しいだけならよかった。雰囲気が明るくなる程度の関係ならよかった。でも本気になりそうになると、楽しいだけじゃなくなる。

相手の時間を無駄にしてしまう。

最近、モテたくないと思い始めている。


でも声はかけてしまう

声をかけるのをやめられない。

喜ぶ顔が好きだ。雰囲気が明るくなるのが好きだ。「かわいいね」と言った時の反応が、何かを癒してくれる。

モテたくないと思いながら、今日も「かわいいね」と言ってしまう。

矛盾してる。でもそれが40代サラリーマンのリアルだ。


これが正直なところだ

モテることへの憧れと、モテることへの恐れが、同時にある。

本気にならない範囲でいい。でもその線引きは難しい。

これを正直に書ける場所があることが、少しだけ救いになっている。

かわいいと思ったら言う。でも本気にさせたら申し訳ない。矛盾を抱えたまま、今日も会社に行く。