ある日、子供が言い出した。

「友達がNISAやってるって。私もやってみたい」

経済学部の友達に勧められたらしい。若い子がNISAを知っている時代になったんだな、と思った。それだけ情報が広まっているということだ。

俺は普通に答えた。

「あんたの口座で既にやってるけど」

子供は固まった。知らなかったらしい。


奨学金を借りさせた理由

うちの子供は奨学金を借りている。

お金がないからじゃない。意図的に借りさせた。

計画はこうだ。借りた奨学金をNISAで運用して、卒業までに元本相当を貯める。そのお金で奨学金を返す。利息分だけが実質の負担になる。

その利息は「投資の勉強代」だと思っている。授業料みたいなものだ。お金を借りてそれを運用するという経験は、教科書では学べない。


「なるほど」と言っていた

計画を説明した。子供は「なるほど」と言った。

分かってるかな。

複利の話もした。「おぉ」と言っていた。

たぶん分かってない。でもいつか分かる日が来るだろう。最初から全部わかる必要はない。俺もムフフがきっかけで本気になるまで、理解は浅かった。

わかるタイミングは人それぞれだ。


なぜ黙っていたのか

「なぜ先に言わなかったの?」と聞かれた。

「言っても興味なさそうだったから」

正直に答えた。子供は少し不満そうだった。

でも実際、去年同じ話をした時は「ふーん」で終わった。人間は自分で興味を持ったタイミングでしか、話が入ってこない。経済学部の友達という「同世代のリアルな声」があって、初めて聞く耳ができた。

そのタイミングで「既にやってるよ」と言えたのは、良かったと思っている。


親がやることは、種を蒔くことだけ

投資に興味を持つかどうかは本人次第だ。

でも口座を作っておいた。仕組みを作っておいた。種は蒔いた。

友達の話をきっかけに、子供が自分で「やってみたい」と思った。そのタイミングで「もうある」と言えた。これ以上のタイミングはなかったと思う。


動機はなんでもいい

俺の投資のきっかけは老後不安で、本気になったのはムフフだった。

子供の投資のきっかけは友達だった。

動機はなんでもいい。自分で「やってみたい」と思えたなら、それが最高のスタートだ。

親として教えることができたとしたら、口座を作っておいたことと、仕組みを説明したことだけだ。あとは子供が自分で気づくのを待つだけだ。

二十年後、「あの時のNISAで助かった」と思ってくれたら、それで十分だ。